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がむしゃらプロレスTOP OF THE SUPER GAMSHARA Jr'2014~真の闘いは己との闘い~観戦記(14.4.27日 門司赤煉瓦プレイス)

がむしゃらプロレスTOP OF THE SUPER GAMSHARA Jr'2014~真の闘いは己との闘い~観戦記(14.4.27日 門司赤煉瓦プレイス)

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昨年より春の本場所として定着したジュニアのワンデイトーナメント。前回がとにかくベスト興業候補になるくらい熱い大会だったこともあって、今回の期待値はさらに高まっていた。まあ事前にラジオで勝敗予想させられたのは参ったけど、自分なりには正直に予想したつもり。結果はどうなったかはこれから書いていくけど、会場の熱気が半端ない。スペースの関係上3方向しか椅子が並べられないこの会場をフルハウスにしているのが、社会人の団体だけという点も特筆すべきことだと思う。
前説では九州&レフェリーによるトークがあって、その後アニスピガールズ、SHIGEKICHIリングアナによるカード発表→入場式という流れになっていた。入場式ではそれぞれの思いの丈をぶちまけていたが、誰が優勝しても文句の出ない(だろう)メンツなんで期待はいやが応でも高まった。

第一試合:▽トーナメントAブロック1回戦 第1試合(30分1本勝負)
ジェロニモ vs● TA-KI

運命のいたずらか、神の気まぐれか。ガチで行われる抽選会の結果はなんと一回戦から同ユニット同士のつぶし合いになった!ヤングマン対クロスオーバーの対決は決勝まで見られない。しかもBブロックのYASU×TOSSHIとともに、このTA-KI×ジェロニモも運命の対決といってもいい。ともに認め合うライバル同士であり、TA-KIがヒール転向する前に一度ぶつかってその時はコンディションで勝るTA-KIが勝利している。
だいたいこういうカードになった時点で先の予想なんて困難極まることなんで、あえて両者の違いを自分のもっているデータ内で比較検討するほかなかった。で、ジェロニモとTA―KIの現時点での差。それは最近の会場人気の勢いにあった。ヒールに転向しても安定の人気を誇るTA-KIに対し、これまで凪の状態にあったジェロニモ人気がここのところ沸騰しているのだ。それは「某一家」が単体で仕掛けたものではなく、会場で観戦しているとわかるのだが、どこの会場でも全体的にジェロニモを後押しする空気ができはじめていた。きっかけはどうあれ、承認欲求を満たされた人間は普段の倍の力を発揮する。メンタルトレーニングの中でもそれは科学的に立証されている。特に観客参加型の最たるもののひとつであるプロレスという競技では、選手間の実力が拮抗しているときほど、大きな差となって現れる。だから私はジェロニモを優勝候補筆頭におしたし、事前の投票でもジェロニモにかけた。

試合前「正々堂々と戦います」といって早速反則をいつも通り仕掛けるTA-KIに対して、意外にも正攻法で攻めていくジェロニモ。ボックスこそ用意していたもののそれを使う気配すら見せない。自然に声援はジェロニモに集まっていくことになるわけだが、ヒール歴においてはTA-KIより長く、しかも今善悪を超越した人気を得て、かつてないほどコンディションのよいジェロニモは、結果的に自分の懐刀を抜かずしてTA―KIに勝ってしまった。しかもTA-KIが出したパイプ椅子を利用してのクレバーな勝ち方。ボックスを奥の手にしておけるほどの余裕の差が明暗をわけたというのも何か皮肉な話ではある。しかし今のTA-KIとてジェロニモを倒すのが至難であるのと同様、ジェロニモにとっても今のTA-KIを仕留めるのは、あまりに困難極まりないこともまた事実だったはず。意外と試合は長時間にならないこの顔合わせではあるが、中身はぎっしり詰まっている。派手な動きがあるわけでもない。ド派手な空中戦もない。しかし手はあってかみ合ってもいる。だから、短くても観客には不満は残らない。むしろ無駄なものをそぎ落として中身の濃いものを届けられるのがこの2人の強みでもある。手数以上に腹の探り合い、神経戦が随所に展開されるのも頭脳派の二人ならでは、といってもいい内容でもあった。そうなると思った以上にこのライバル対決は見た目ではわからない爪痕を勝者に残していたのかもしれない。

第二試合:▽トーナメントBブロック1回戦 第2試合(30分1本勝負)
○YASU vs ●TOSSHI

さて、消耗といえばこの二人をおいて考えられないと当初は踏んでいたのがこの対決。昨年12月に3WAYで戦ったとき、両者が試合時間のほとんどをリング上で動き回っていたことを覚えている観客も多かったのだろう。本命最右翼になってもいいこの二人を優勝予想候補にした人が意外にも少なかったのだ。だがそれも無理はない。散々動き回っていた二人の横から王座をかすめとったのはLOCキッドだったのだから。今でこそ世代交代の旗頭のもと、共闘はしているがもともとベビーとヒールに分かれていて、しかもTOSSHIがヒール転向したきっかけはYASUとの連携誤爆だった。そこからこの二人は顔を合わせるたびに全力ファイトの手抜きなしのぶつかり合いをみせてきた。だがあまりに手が合いすぎるのと、戦績でTOSSHIが圧倒していたこともあって、元王者であるにも関わらずYASUの勝ちまでは私にも予想できなかった。その上試合内容が毎回ハイクオリティーに進化し続けるこの二人の攻防は、二人とも燃え尽きて終わり、と考えた人も多かったに違いない。

だがリングインしてTシャツを脱いだYASUの上半身は研ぎ澄まされた刃のようになっていた。もともと細めの体つきではあるのだが、一目みただけで「何か違う」と思わせるものが漂っていたのだ。しかし今やヘビー級王者をも苦しめるTOSSHIとてそれは同じ。今や代名詞となった執拗な足関節はYASUをも大いに苦しめる。だが、今までのYASUなら決定打になっていたはずのTOSSHIの足殺しで音をあげることは最後までなかったし、確実にロスしてしたはずのYASUの動きは最後まで衰え知らずだった。これは見てる側にとってもTOSSHIにとっても大いなる誤算だったとしかいいようがない。本当に心の底から悔しがるTOSSHIを後目に冷静に自分のスタミナ配分を計算していたYASUは確かに以前よりしたたかになっていた。そこを見抜けなかった時点でお客も我々もTOSSHIもまんまとYASUの術中にはまってしまったのだろう。勝った当人は後に「何度も負けるかと思った」といっていたが、生まれかわった自分を信じ切ったYASUは自分の底力を自分で引き出せた。私自身読みが甘かったなあ・・・と思わざるを得ない。しかしこういういい意味で予想がはずれることは大歓迎である。かくしてYASUはやはり同門のKAGが待つ二回戦へ進出した。

第三試合:オマケ混じりの世代闘争6人タッグマッチ(30分1本勝負)
小倉発祥‼パンチくん&ダイナマイト九州・改&●ニコラス今中ジョリー
vs セクシーロージィ&豪右衛門&○陽樹

おまけ試合にも世代闘争を組み込んだのが本カード。実はこれ箸休めであってそうではない。ここにこのタイプの試合が未経験な陽樹と、あまり絡むことがないニコラスが入っていることがキモなのだ。現王者スミスがかつてベルトを失ったとき、特別試合とはいえあたった相手がダイナマイト九州だった。そしてその時王者だったマスクドPTはアリマティとシングルをやって、2人とも結果を残している。とはいうものの、この難敵相手に、もと絶対王者と現・鉄壁の王者が意味で苦戦していたのは事実。つまりここ5年で無差別のベルトを巻いた2人が超えてきた壁がおまけ軍との試合だったのだ。であるならばベルトが欲しければ、特にダイナマイト九州は陽樹、豪右衛門にとっては超えなくてはならない「壁」である。事実、九州に勝ったスミスはベルトを取り返せたが、昨年のGAM1で九州に惨敗した林祥弘は結果的にスミスの牙城を崩すことはできなかった。一方のニコラスにしてみれば、味方であってそうでない二人と組まされることで、二月の闘いが本物であったかどうかがやはり試されているカードにもなっていた。

だいたいどこが「改」なのかさっぱりわからない九州は出てくるなり格闘仕様でパンチくん相手にシャドーをはじめる・・・かと思ったらさっそく序盤から仕掛けはじめた。登場時レガースにオープンフィンガーグローブといういでたちだったのが、「マイクがもちにくい」という理由で試合前にそれらをとってしまい、そのマイクで「おい!お前ら若手にこのキャリアの長いニコラスさんがプロレスというものを教えてさしあげるから覚悟しておけ!」と新世代を挑発して、なぜかニコラスがクロスオーバーにプロレスの厳しさをたたき込むという体にしてしまった。戸惑うニコラスをよそに九州&パンチくんは試合そっちのけでファンと交流したり、場外でくつろいだりとやりたい放題。もはや自由すぎて言葉にならない(苦笑)。だから散々新世代につかまってボロボロになったニコラスが自軍コーナーにタッチを求めていっても誰もいないという事態がたびたび。かくしてある意味プロレスの厳しさを身を挺して表現することになったニコラス。
さらにニコラスの試練は続く。やっと登場した九州&パンチくんは「1.3.5.7.九州、九州」をニコラスにも強要。普段はコーナーに相手をつめてやるこの一連の流れをなぜかパンチくんの補助つきでリング中央においてやっていたから変だなとは思っていたんだけど、二コラスが意を決してやったら後ろには陽樹と豪右衛門しかいない・・・。補助しているはずの九州&パンチくんはまたしても場外で客席にいた「ミニパンチくん」とほのぼのとした交流中・・・・で、二コラスがやりきったあとは当然のようにクロスオーバーに袋だたき。もう自由すぎる九州&パンチくんはこの後もロージー以外の陽樹&豪右衛門をも翻弄。しかしこの空間に呑まれたら負けになる二人は自分の存在感を残しての闘いに必死に食い下がった。二人とも迷いはあったと思うけど、この奔放なプロレスによくついていけたなと思う。やっぱクロスオーバーで足りないものはこの頭脳をフル回転させるプロレスだと思うので、今後主翼を担う二人が九州&パンチくんの洗礼をうけたのは今後の糧になるに違いない。もちろん二コラスにもいろんな意味で身になった試合だったと思う。いい試合でした。しかし、この中にあって決して九州&パンチくんに飲まれないロージーってやっぱすげえなと素直に思う。なにげにがむしゃら一クレバーだったりして^^

第四試合:▽トーナメントAブロック2回戦 第1試合(30分1本勝負)
●NIKKY vs ○ジェロニモ

一回戦シードのNIKKYはがむしゃら創設メンバーの一人でジュニアのタイトル戦線にもたびたび登場するインサイドワークの達人。クレバーでは他者の追随を許さないジェロニモにしてもこれは厄介この上ない敵の登場である。しかも一回戦が計算して突破しようのない同門TA―KIであったことを考えると、どう考えても不利になるのは一回多く闘って消耗しているジェロニモである。しかもNIKKYにはお笑いからシリアスまで何でもこなせる幅がある。足元をすくわれるとしたらここだった。同じシードでもやはりKAGとNIKKYでは絡みづらいのはNIKKYの方になるだろう。長らく封印はしているが、NIKKYにも狂気の面があってここもジェロニモとかぶっている。だがこの日のジェロニモには声援以外にNIKKYのもっていないものをもっていた。それは盟友TA―KIを突破した自信である。あの盟友でもあり、難敵でもあるTA-KIを倒した自分は強い!というイマジネーションの部分でNIKKYを上回っていたのが勝因だったんではないかなと思う。

仮に奥の手があったとしてもそれを出すことなく敗れては決勝には進めない。あえてジェロニモの悲劇をあげるならば、この時点で切り札を出さざるを得なかったことになるだろう。その用意した切り札とは胴締め式ローリングクレイドル。脚力の強いジェロニモならではの隠し玉だった。これでしつこく回されたNIKKYは余力を残して3カウントをきいてしまった。長い試合になったらおそらく足殺しをまともにくらって決勝まで残れなかっただろう。早い時点で仕掛けてしかもピンが取れる隠し玉を用意していたジェロニモの執念がNIKKYを上回った一戦だったと思う。

第五試合▽トーナメントBブロック2回戦 第2試合(30分1本勝負)
●KAG大塚 vs○ YASU

トーナメント二試合目のYASUとシードのKAG。今一番伸びしろがあって、後から追われるYASUにとって脅威になる相手でもある。そのKAGはしょっぱなから丸め込み戦法に出た。これがしつこいくらいこれでもかと続けていく。YASUが一試合多く消化し、しかも勝った相手があのTOSSHIであることを考えると、上から乗られるだけでもスタミナ的に厳しいはず。これは見ている誰もがそう思ったに違いない。しかし、ここでわれわれは大きな思い違いをしていたことに気づく。YASUのスピードが落ちないのだ。セオリーでいえば、リング下におりて間をとったり、相手のリズムを狂わせて自分が休んだりといった駆け引きもプロレスの一部ではあるんだが、YASUはまるで自分の限界と相対峙して闘っているような感じさえした。ひたすら動き回ってそれでも相手がかえしてきたらさらにその上をいく動きで返していく。一見するとエンジンフル回転したまま、トップギアで走り切っていくスタイルはガス欠の恐れも十分考えられるのだが、YASUは全くそれを恐れてはいなかった。特別な必殺技をもってきたわけでもなく、ただ、トーナメントを闘いぬくコンディション「だけ」を作ってきた。普段通りの試合をギア落とさずに3試合闘うということを念頭に置いたYASUの作戦は見事に奏功していた。逆にKAGは位置的に漁夫の利が狙える分、どっかで欲張ってしまったのかもしれない。ヘビー級相手に見せる「あわや」という場面を、同じ階級のYASU相手に作り出せなかった。それが敗因のように思える。結果が欲しかっただろうなというのは容易に想像がつくけれど、今年はやはり先輩越えを果たして、ジュニアの一角に食い込む活躍をしてほしい。軽量でヘビー級を翻弄するKAGもいいけど、やっぱジュニアの中で光るKAGをそろそろみてみたいからだ。

第六試合▽世代闘争対抗戦&チャレンジマッチ6人タッグマッチ(30分1本勝負)
七海健大&●鉄生&藤田ミノルvs L.O.C.キッド&SMITH&○阿蘇山

休憩明けのセミファイナルは普段アマに混じるときはお笑いモードが多いところをあえて、世代闘争の枠組みの中でやってみたというカード自体がチャレンジな一戦。普通だとアマはアマ、プロはプロで絡むんだけど、なんせ今回はがむしゃらのお師匠さんが二人いるわけで、世代闘争云々よりその先生にいかにして自分を売り込むかが争点になった感じがした。先発こそあえて七海に譲った鉄生はここぞとばかりに阿蘇山を直接指名。昨年の同じ場所で阿蘇山に強烈な張り手をもらって脳震盪をおこした鉄生としてはいいところを見せたいと思う以前に、なんとか一矢報いたいという気持ちがあったのかもしれない。その気持ちを十分にくんだうえで阿蘇山は鉄生を思い切りつぶしに来た。最近ホームの九プロでもめったに見せない「恐い阿蘇山」が門司に降臨したのだ。張り手、頭突き、チョップ、どれも赤煉瓦プレイスが壊れるんじゃないかと思うくらいのド迫力攻撃。しかしこれを鉄生はよろけながらも跳ね返し、反撃に転じたのだ。長くプロアマには一線を引いてきたがむしゃらだったが、昨年以来の「解禁」によって、シリアスマッチでもプロと絡めるようになった。その波に鉄生はうまく乗って自分を成長させようとしているように見えた。スミスやキッドはその中で新世代がどう出てくるのか様子見をしつつ、やはり先生の前でさりげなくいいところをアピールしようとしていたように思う。コンディションもいつも通り死角らしい死角もないし。
七海はもともと我の強い方ではないためややこの中では埋没してしまっていたかな。チャンスといえばチャンスだったし、実力もあるんだけどちょっと出遅れた感があった。懸命に流れには乗ろうとはしていたけど、やっぱ最初に鉄生があれだけのことをしてしまうとかすんでしまう。いずれ新世代同士でも始まるであろう覇権争いを考えると少し気がかりだった。
展開として鉄生と阿蘇山のからみが軸になったのはここ一年の因縁を考えると仕方ない。あの筑前をも沈めたマグマドライバー~マグマスプラッシュをもろに食らって鉄生が玉砕したが、あれを受けられる選手はプロでもそうはいない。新世代の中ではやはり頭一つ抜きんでているのが鉄生であることは疑いようがないと思う。こう書くと特に陽樹は悔しがるだろうなあ。でもやっぱ対鉄生を先に見据えるならば、プロにもガンガン喧嘩売っていかないとね。お師匠さん二人のコンディションがいいうちにチャンスはつかんでいってほしい。すでに新世代同士の闘いも水面下でははじまっているなと感じた一戦だった。でもチャンピオンズはやっぱ強い!鉄生の奇跡的な頑張りをみてもなお、プロ抜きでもクロスオーバーが勝てたかどうかは微妙な感じがした。それほど高い壁ではあるのだ。結局世代闘争はこのジュニアとヘビーのチャンピオンをどんな形にせよ誰かが倒さない限りは終わらない気がする・・・・

第七試合:▽トーナメント決勝戦(60分1本勝負)
ジェロニモ vs○YASU

予想しておいていうのもなんだが、まさかこの組み合わせが決勝になろうとは!キャリアと頭脳で勝ちあがったジェロニモと若さと回復力でフル回転させて上り詰めたYASUとの対決。普通に考えれば前王者YASUが勝つと思えるところだが、ことはそう簡単ではない。プロレスはキャリアも重要な要素であり、えてして上手さが若さを翻弄するというシーンも珍しくはない。だが、時に若さはうまさをも凌駕する。このバランスをまるで神様がその時の気分しだいで決めているかのように、あっちにいったりこっちにいったりするのが、プロレスの面白いところなのだ。たとえ、お客の大声援に後押しされていても、お客に支持された選手が優勝できるとは限らないからだ。この神様の気まぐれだけは誰にもどうすることもできない。プロレスをみない人に限って、勝敗がわかりすぎて面白くないという声を口にするが、じゃあ、このカードになった時点で勝敗を予想できるかどうかやってみたらいいと思う。絶対に無理だということがわかるはずだから。

その予想の難しい試合は、ジェロニモが試合前恒例の卵を飲んで気合を入れると、封印していたインサイドワークとボックスを使って総力戦を挑んできた。しかしこれはいつものジェロニモで、ここで出さないといつ出すの?というところだったからこれは仕方ない。だが、いつものジェロニモに戻ったということはYASUにしてみたら、当然対策は立てやすかったのだ。反則は織り込み済みで攻撃をかわしていくYASUはとても二試合闘い抜いた選手とは思えないはつらつとした動きをみせていた。これが頭脳と狂気を誇るジェロニモコンピューターを狂わせてしまった。敗因ですら自分で分析して必ず次に生かすほど自分の試合がみえているジェロニモの動きが、途中からあきらかにいつもと違ってきたのだ。想像するしかないのだけれど、これは今まで未経験だった一日3試合のうち、2試合をいつもでないジェロニモで戦ってきたつけが回ったのではないだろうか?やはり人間というのはなれないことをすると疲労が蓄積してしまうもの。たとえ楽のできる新しいことだと知っていても、きつくてもなじんだ古い感覚を手放せないのが人間の心理である。だからなじんだ感覚を手放してまで新しいことをしようとすると、体が物凄い抵抗を示し、なんとか変わるまいとする。その抵抗は自分でも思った以上のものがあり、また非常に消耗もする。この時点でスタミナの化け物であるはずのジェロニモの体には負担の限界を超えた負荷がかかっていたとしか考えられない。

一番いい例はこの試合でYASUの足殺しを完墜できなかった点だろう。足殺しのバリエーションをいくつも見せておきながら、ボックスを足殺しには使おうとはしてなかったし、足に負担のかかっていたYASUを生き返らせてしまったという意味でもうひとつふたつ詰められた場面があったにも関わらず、ジェロニモコンピューターの狂いはそこを突けなかった。いい言い方をすれば、未完のジェロニモにもまだ伸びしろと進化の余地があるともいえるが、若さと冷静さ、そしてなにげに普段通りのファイトを3試合こなせるYASUの牙城は今後そう簡単には崩せまい。なぜならジェロニモも年齢を重ねていくからだ。同じ土俵で勝負できない以上、YASUを上回るインサイドワークを身につけてリベンジはしてほしいが、これは相当厳しいことだと言わざるを得ない。これはでも誰もが通る道でもある。いつまでも人間若いわけではない。だが、あきらめるにはまだ早い。初の一日3試合を経験し、決勝こそ逃したがここまで闘い抜いたことで一気にジェロニモにもチャンスが訪れることだろう。そして世代闘争的にはチャンピオン二人以外にもこうした曲者がヤングマンにいることを示せたのはよかったと思う。

終わってみれば、どっちも永遠のライバル対決を制し、シード選手を退けての決勝進出になった。たまたま勝敗はわかれてしまったけれど、勝ったYASU,敗れたジェロニモ、ともに一日3試合の激闘を勝ちぬいてきたこと、これは大いにほめたたえていいと思う。間に入った二試合の内容もよかったし、あえて落とすところがないほど大会の完成度も高かった。それだけに選手にとっては大変だったとは思うんだけれど、まさか昨年をこえる内容を出してこようとは思いもよらなんだというのが正直な感想。そしてわたしの三文予想を見事に覆し、いつでもどこでも挑戦権を得たYASUは本当にすごかった!同郷なのに予想してなくて正直、スマンかった!だが、こういう外れ方は、何度も言うけどかえって気持ちがいい。本当、毎年このジュニアの祭典はがむしゃらに新しい歴史を刻んでいく大会になったなあと思う。で、毎回思うことだが、ヘビーもこの内容に負けちゃだめですよ。次回のGAM1でその真価が問われるのだから。まずはみなさんおつかれさまでした。素晴らしい大会をありがとうございました!