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“児童虐待・いじめ撲滅チャリティーイベント!!”「GAMUSHARA MANIA ‘2014」~未来への架橋~観戦記(2014年12月7(日)・北九州パレス)

“児童虐待・いじめ撲滅チャリティーイベント!!”「GAMUSHARA MANIA ‘2014」~未来への架橋~観戦記(2014年12月7(日)・北九州パレス)

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この年の締めのがむしゃら一大イベントがくると今年も終わる・・・という感慨よりも、5年前はじめてがむしゃらプロレスを見に行った時の事を思い出す。病気による約二年間の寝たきり生活からやっと脱出しかけて、近隣に出て歩けるようになっていた5年前。とてもではないが今みたいに博多はおろか、北九州でも下関ですらも、観戦するのはかなりきつかった。一回だけかなり無理して華☆激を見に行って体調悪化させていた(観戦だけでなく、外出しては悪化させていたるという繰り返しだったけど)前歴があったので、遊びに行くのも慎重になっていた。しかしたまたまというか偶然というか、あの日に限って、がむしゃらプロレスを見に行った5年前の11月23日は、いうこときかない自分の体が動いてくれたのだ。今考えると、観戦を決めたのもずいぶん思い切った決断だったんだけど、このタイミングというのもとても重要だった。

あれから5年。さすがに東京や大阪に始終観戦にいけた時ほどではないが、近隣の団体をくまなく(それでも漏れている団体があるけど)回って二桁の観戦数をキープできている。半世紀生きてきてこの10年ほど波の揺り戻しが大きい10年はなかった気がする。プロレスは私を元通り・・・ではないけど、寝たきり生活を余儀なくされていた頃よりは確実に自分を元気にしてくれたのだ。そう思うと時折見放されそうにはなるけど、プロレスの神様はまだ自分を見捨ててはいないんだなあと思う。

5年前のことで思い出すのは16時開場と同時にイベントがスタートして、終わったのが22時という超ロングラン興業だったこともある。あれ以前はどうだったか知らないが、基本年末のがむしゃらの大会は長いという認識をもったのもやっぱ5年前のあれが大きく影響している。しかし作り手側も今回は相当意識していたようで、進行が最初から巻いたような状態。今回はなんとしてでも時間内に終わらせてやろうという気概みたいなものを全員から感じる大会になっていたような気がする。もちろん時間内に終わらせてかつクオリティの高いものを、という意識は全員が持っていただろう。でないとこんな大会はなかなかやろうと思ったって出来やしない。

▼男樹・アリマティ引退試合!!邪道に憧れた男の集大成!!
"ハイテンション"10人タッグマッチ(どれだけファイアーするか1本勝負)
①紅 & 竹ちゃんマン & タシロショウスケ & ○男盛& 門司港戦隊レトロンガー
   vs ×ガムコツくん & セクシーロージィ & 銀ぢ & GAMA & ブラック☆スティック
(10分00秒)
※この試合で引退予定のアリマティ選手はインフルエンザのため欠場

試合前、引退するアリマティの映像が会場で流れたが、もともと支離滅裂な内容だったらしく。それを何とか見られるように編集に編集を重ねたあとがうかがえた。内容はとにかくアリマティ節炸裂で、いちいち爆笑するしかない内容だったんだけど、その本人がインフルエンザで欠場という・・・正直まだこの時点では「フリ」だと思っていた。が、しかし敵味方全員が手描きの「男樹」Tシャツを着て入場してきたものの、やはりアリマティ陣営は一人足りない。で、そのアリマティの代打として呼ばれたのは…男盛だった!予想外のゲスト登場にひっくりかえりそうになる我々。というかここに出すにはもったいないくらいのキャスティング

男盛がこんなカオスな空間にあってしっかり中に溶け込んでいたのも凄かったけど、試合が始まったらアリマティのことが消し飛んでいたというのもなんともはや。DDTのロックンロールデスマッチの様に完成されたエンタメにしようと思えばできたかもしれないが、当初の予定通りアリマティがここに入っていたら、そんな高度なことができるはずもないので、タイトル負けはしていたものの、それをカバーしてあまりある内容だったと思う。現状でできることは全てやっていたと思うし。紅も銀ぢも頑張っていたし、いきなり小型化したレトロンガ―や一年ぶりの登場になったGAMAも張り切っていたし、オープニングマッチとしては申し分なかったと思う。

しかし引退する本人が病欠する引退試合っていうのも長くみてるけどはじめてだなあ。これがアリマティらしいっちゃらしいところなんだけど、そのおかげで男盛がみられたので良しとしておこう。

▼なにわ愚連隊RX 1年ぶりのがむプロ参戦 & 1夜限りのClazy Crever復活!!(30分1本勝負)②○なにわ1号 & なにわ3号 with BOSS原 vs ×DIEZEL & ジェロニモ with Crumin
(11分53秒)

こっちも久々登場となったなにわが一夜限りの復活となったCCとの対戦。もともと両軍は一緒にやってきたのだが、CCも空中分解してなにわも行き場がなく、DIEZELも先に正規軍入りを表明してしまった陽樹やTA-KI、ジェロニモらとは一線を画す形になっていた。まあそもそも、なにわの登場のいきさつから考えると、正規軍いりも難しいし、かといってgWoと組む絵面も想像しにくい。となるとこうなっちゃっても仕方ないかなという感じ。久々の試合でなにわのテンションが滅茶苦茶高かったことで、微妙に連携がずれていたDIEZELとジェロニモの攻撃の寒暖差をうまくついて自軍に有利な試合展開にもっていけたようにみえた。なにわはやっぱヒールが似合うんだけど、一年に一回じゃやっぱさびしいかなあ。DIEZELにしてもメインストリームに絡むには、スケジュール的なこともあろうから無理はいえないんだけど。

この中でCCにこだわりがあるとみられるcluminの元でDIEZELは「はぐれCC」として再出発してもいいと思う。なんとなくだけど、今のDIEZELには既存のユニットと群れている絵が想像できないだけに、これもまた仕方ないのかなと思う。まあはぐれてやっていくのもいいんではないだろうか?どっかのユニットに所属しなければならない義務もないわけだし、自由にやっている方がDIEZELらしいんじゃないかな?なんとなくいつの間にかあらわれて気が付いたら中心にいたという方が彼らしいようにも思えるんだが・・・

▼西日本横断6人タッグマッチ(30分1本勝負)
③×MIKIHISA & TA-KI & グレートカグラ(松江だんだんプロレス) vs KAG大塚 & ○NIKKY & ALLマイティ井上(松江だんだんプロレス)
(10分24秒)

イベント試合や震災復興プロレスで既に登場していた松江だんだんプロレスがいよいよ本格参戦。まあ遠方から来ている分、定期的に対抗戦という形にはしにくいと思うのでコラボマッチにしたのは正解だろう。初参戦のALLマイティ井上も貴重な重量級の選手ということで異彩を放っていた。カグラ対KAGというちょっとややこしい名前の二人の絡みもあったり、先月の試合で大いに株をあげたMIKIHISAもこの中に入って気後れする場面もなかったので、安心してみていられた。途中一斗缶攻撃で井上が流血するハプニングがあったが、それをものともせずに闘う井上の姿は、胸をうつものがあった。もっとも流血ファイトに免疫のない観客は、かなりショックだったみたい(そもそもがむしゃらで流血試合を見た記憶は、そんなにない)。デスマッチでもなかったのに、結果的にデスマッチになってしまった。

前回イベントで組んだTA-KIとカグラの連携は既に完成されていたが、やはりデビュー三戦目でその輪の中にMIKIHISAが入るにはやや難があったかもしれない。最後は負けてしまったけど、存在感までは消されてなかったし、蹴りもダイナミックでよかったと思う。久々の試合だったKAGも動きはとてもよかった。やっぱ井上の流血と気迫にのせられた感じになったのかな?

今度は是非シングルで井上やカグラの試合を見てみたいと思う。まだまだ見てない選手も一杯いるし、今後の交流に期待大。

▼GWA無差別級タッグ選手権試合(60分1本勝負)
④【王者TEAM】小倉発祥パンチくん & ×ダイナマイト九州 vs【挑戦者TEAM】○マスクド・PT & SMITH (14分04秒)

さて一番難関だったのがこの試合。ここまで強豪を何気に撃破。とうとうセクシー・ロージーにまで黒星をつけてしまったタッグ王者。連携があるんだかないんだかわからない上に、いつの間にか勝ってしまうというあたり意外と曲者になってきていた。これを止められるのは実を言うともはやこの2人しかいないと思っていたが、PTとスミスがいざ組んで見るとこれで負けちゃしゃれにならないよなという今回の挑戦者である。もともと各人がシングルプレイヤーであり、もとシングルチャンピオンでもある。今は同じユニットとはいえ、長く敵対してきた間柄。まあ憎くて相対峙していたわけではないのだが、タッグチームとしての力量は未知数。以前タッグ王者も経験しているPTはまだしもスミスはタッグ王座にはこれまで不思議と縁がなかった。ただ意を決してgWo入りしたスミスは自分のgWoTシャツをアメリカンカラ―に改造して登場。こういう一人でおいしいところをもっていこうという姿勢は今までとそんなに変わりはない。

試合前クリスマスよろしくサンタ仕様ででてきた王者組はお菓子を会場にばらまいて、早くもお客を味方につけようという魂胆にでたが、なぜかお菓子配布をPTとスミスも一緒に手伝っていた。LOC時代なら考えられもしなかっただろうけど、基本面白いことをするユニットであるgWoにおいては、特別PTが意趣返ししているわけでもない。もともとスミスはお笑い寄りの試合もできるわけだし。だからといって九州のペースに乗せられると、体力以外の部分で疲労してしまう危険性も十分にあった。序盤から中盤まではなかなかペースをつかめず、「1・3・5・7・九州・九州」も複数回くらってしまった挑戦者チームだったが、ここ最近連戦連勝を重ねてきた九州の「くるっとロールケーキ」に関しては結構警戒していたみたいで、これをカウント2で跳ね返したあたりで、ようやく勝機をつかんだ感じになった。gWoはうるさいパンチくんを外に出すと、序盤ではなかなか決まらなかった連携を駆使、最後はエクスプロイダーからのPTコースターという、シングル王者時代の十八番を連続技を披露。散々粘っていた九州もこれで轟沈。意外と粘られた分、内心ひやひやものだったのかもしれない。だいたい2人のとっときの必殺技を合体でお見舞いしないと仕留められないほど九州は難敵化していたんだから。

正直勝って当たり前だし、負けたら今までのキャリアに汚点がつくという意味では、チャレンジャーチームには本当に高難易度の挑戦だったと思う。勝ったら勝ったで「全力出した勝ち方」だとこれまた沽券にかかわる問題だし、そういう意味では決して手を抜かなかったうえで、何とか自分の色を消されなかった新チャンピオンチームはやっぱりだてにシングル王者の看板を長年張り続けてきたわけではないんだなあというところを見せてくれたと思う。一方、敗れた九州・パンチくん組も「難敵」という印象を内外に植え付けた意味で、ここまでタイトルホルダーであったことがだてではないという証明ができた試合だったと思う。

▼GWA Jrヘビー級選手権試合(60分1本勝負)
⑤【王者】×YASU vs ○TOSSHI【挑戦者】
(15分33秒)

この2人が正直トリというかプロの試合後でもよかったかもしれない。そのくらいの内容を見せてもらった試合だったんだけど、如何せん完成しつくされたやりとりが進化しすぎると、「行き過ぎたプロレス」になりかねない。とはいえ、私個人の理想のプロレスというのはこの後出てくるKENSOとか、“マッチョマン”ランディ・サベージのような少ない技の数で観客を魅了するテクニックと頭脳を使った戦略型で理詰めのプロレスなんだけど、それをこの2人にあてはめても仕方ない。ただ、彼らの進化はここでとまるようなものではないし、危険技合戦にはまっていくような愚かさも持ち合わせてはないだろう。でもより洗練された、より優れた攻防を展開させていくには、読み合い、透かし合い以外のだまし合い、化かしあいを繰り広げていくとなお磨きがかかった試合になるのではないだろうか?人間的に正直なのと選手としての読み合い、探り合いの才能はまた別だと思うし。タッグ選手権がそうだったように、相手もお客をもあっと驚かす奥の手を今後さらにいくつも身につけていってほしい。

お互いスキルが高くてライバル同士で、でも今は同じユニット内で競い合っている現状で見せられるだけのものはみせてきたと思う。正直勝ち負けに関して言えば、TOSSHIの方がヒールを経験した分、幅が広がっている感じがしたし、勝率でも過去YASUを上回っている実績からいってもこの結果で当たり前かなという気がした。あえて想像をこえてほしかった部分としてはYASUがここで防衛して、キッドから続く「王者が防衛できない」ジンクスを破ってほしかったんだが、今回もそれはお預けになってしまった。で、正直次回YASUと闘ったらTOSSHIが勝てる保証もないし、ほかのジュニア戦士たちも強豪揃いなんで、簡単に防衛といっても結構難しい注文だったりするんだけど、今こういう乱世になっている時に防衛できる王者というのが確立できたら、今度こそジュニアの防衛戦がまたプロの試合後に組まれるかもしれない。内容が保障された分、期待値で上まわれないというのも難しい注文だと思うけど、やっぱ年々進化していってるだけに要求もあがっていくのは仕方ないと思う。そう思われるということはもう彼らは若手(年齢のことではなく)ではないとみなされているからだ。

▼がむプロ本隊 VS G.W.O.対抗戦6人タッグマッチ(30分1本勝負)
⑥ジャンボ原 & ○七海健大 & 野本一輝 vs 豪右衛門 & ×L.O.C.キッド & 林祥弘
(9分23秒)

ここに5年前デビューして残った三人が全員入っているというのも何かの因縁なのだろうか?野本一輝はデビュー当時の金髪姿に戻してこの一戦に臨んでいた。あの日から5年。トップが届きそうで届かないでいる09年デビュー組をみていると、下から駆け上がって頂点を極めた鉄生やTOSSHI、YASUがいかに優れた存在であったかというのがわかる。しかし抜かれたからといって、林だって野本だって七海だってまだ諦めたわけではない。まだまだ上を目指してもらわないと困るのだが、それをあざ笑うかのように豪右衛門が、正規軍を蹴散らしていく。久々に組んだジャンケンコンビもこの豪右衛門の勢いに押されてか?往年の連携で序盤からス―パーノヴァ狙いにいくが、フィニッシュにいけるまで相手を追い込んでいないので、逆にgWoに付け込まれてしまう。どうしても勢いで言うと正規軍の分はわるい。逆に豪右衛門だけでなくキッドも林も新しい自分を生き生きと表現していた。かつてチョップで打ち負けていた姿はそこにはなく、野本を本気で怒らせるほど今の林は大きく変化していた。

それでも連携ではかつてタッグ王者になったジャンケンコンビに一日の長があって、野本が林にしか目がいかなくなった分、状況を読んでキッドを今度こそ黄金連携からのスーパーノヴァでフィニッシュにもっていったのはせめてもの救いだった。北海道にいる野本を毎回頼れない以上、自分たちでなんとかしないといけないという気持ちは伝わったのだが、正直じゃあ、今のジャンケンコンビでタッグ王座というのも厳しいだろうし、シングルのベルトも陽樹以外の挑戦者を選ぶのは正直どうかなあと思ったときに、正規軍から鉄生に対抗しうる存在が現れないと、gWoの一人勝ちになってしまうんだけど、その不安はこの試合をみた段階においてはまだ拭いきれなかった。

5年前のデビューを郷愁にしたか、進むための糧にしたか、09年デビュー組の進む方向もここから大きく変わっていくそうな予感がした一戦だった。彼らは彼らでまたそれぞれのスピードに応じた変化をしていくんだろう。

YASUもTOSSHIも鉄生もデビュー戦は見ているんだけど09年組ほど鮮烈には覚えていない。豪右衛門にいたっては6人タッグでこれという印象を残していなかった分、GAM1での化けっぷりが衝撃的だった。そう考えると彼らの5年先がどうなっているのかも見てみたくなってきた。

スペシャシングルマッチ!!(30分1本勝負)
⑦×久保希望 vs ○KENSO(全日本プロレス)
(11分22秒)

さて5年前ならまだチャレンジマッチになっていたかもしれないこの闘いも、久保が10年選手になり、若手の域を超え始めた現在では、ここに結果が求められるのは仕方ないともいえよう。実際そこまで久保希望はレベルアップしてきているし、たとえ相手が世界を知る男、KENSOであっても、やはりかつてのように散っていく美学を見せるだけでは正直もの足らない。そもそもこれをチャレンジマッチとして見ること自体、10年選手には失礼というものだろう。もはや「顔と名前は覚えて帰って下さいね」レベルにいる選手ではないんだから。

ところがこの日のKENSOは少なくともここ最近全日でみているKENSOではなかった。多少気分にムラがあるのか、試合内容はわるくないけど記憶に残らない・・・そんなここ数年のKENSOの姿はどこにもなかった。正直久保は何もさせてもらえてなかった。といってもKENSOが一方的に潰したのかというとそうではない。はっきりいうとKENSOの手の内で踊らされていたというかそんな印象を抱かずにはいられないくらいKENSOワールドに支配された試合だった。とにかく観客の視線を出た瞬間に自分に集めてしまう。たちどころにヒールの立ち位置にたって観客をヒートさせる。使う技は最小限、それでいて観客は決して飽きることがない。往年のマッチョマン・ランディ・サベージを彷彿とさせるような技の少なさと会場の空気を手玉に取る能力。これが世界のテクニックなんだよといわんばかりの、圧倒されるばかりの試合だった。本当にすごいものをみてしまった。

今の久保がこのレベルに行こうと思ったら抜本的に何かを変えていく必要があるとは思うが、正直それが何なのかさえつかめないほど、KENSOの試合運びはスケールが違っていた。
ただ、この時点で世界レベルのテクニックを体感できたことは決して無駄ではないと思う。
ましてやシングルマッチである。これが財産になれば確実に久保希望はさらなる進化をしていくだろう。それを見ていく楽しみもできた。いやそれにしてもKENSO、お見事だったとしかいいようがない。

スペシャルタッグマッチ!!有刺鉄線ボードデスマッチ(30分1本勝負)
⑧×藤田ミノル & 新井健一郎(ドラゴンゲート) vs 佐々木貴(FREEDOMS) & ○葛西純(FREEDOMS)(22分19秒)

二カ月に一回は福岡で試合しているドラゲーにあってなかなかその姿を拝めないアラケンは九州・山口のプロレスファンにとっては滅多に見られない未知の選手といっていい。正直ドラゲーになってからみたことあったっけ?と思うくらい記憶にないのだから、それも当然か。久々に見たアラケンは頭脳派というか、結構小ずるいベテランといった感じの選手になっていた。

前回有刺鉄線ボードの試合をやったのが小倉北だったんで、たぶん記憶に間違いがなければがむしゃらの北九州パレス大会で、この形式のデスマッチをやったのははじめてではないかと思う。試合前セコンドが運び入れるにしても、おっかなびっくりといった感じで(まあそれが当然なんだけど)、春に見たとんこつ大花火での、手なれた大日勢のセコンド業務ぶりの方が異常なんだよなあ、と思わずにはいられなかった。そのうえ、藤田ミノルが入場と同時にせっかくリングに運び入れた有刺鉄線ボードをまたリング下におろして隠すということをしてしまい、余計混乱を大きくしてしまった感も・・・で、最初はデスマッチを嫌がっていたかのようにみせていた藤田が、いざ試合がはじまってみたら、一番に有刺鉄線の犠牲になり、この日二人目の流血。それだけではない。普段は上にTシャツを着て試合をする藤田がなんと、上を脱いでしまう。額からはおびただしい血が流れ出て、まさに鬼神の形相。考えてみたらデスマッチの総本山である大日でデビューした当時はデスマッチとは無縁の路線を進んでいた藤田が、大日やめてフリーになってからデスマッチに身を染めようとはあの当時誰が想像しただろう。

この藤田のさまをみた殿も葛西もなんかスイッチが入ったらしく、試合はFREEDAMSらしいイカレたクレージーマッチになっていったが、あまりの刺激の強さに呆然とする観客もいたくらい、結構見慣れない人にとってはこの試合は強烈な印象を残したかもしれない。普段絶対的人気を誇る殿があえてヒール的な立ち位置で試合をしていたのも印象的だったし、やはりこれはプロにしか出来ない試合だったといってもいいだろう。

蛍光灯とか電流爆破からすると、有刺鉄線ボードというのは一枚落ちなアイテムとしてみられがちなんだけど、実際はコスチュームに巻きついたり、とげが抜きにくかったり、ちぎれた有刺鉄線がそこかしこに四散したりと危険極まりないアイテムなんだということも改めて思い知らされた。試合は藤田が葛西のパールハーバーで3カウントをきいてしまったが、最後はさわやかにノーサイドで両軍がしめた。このあたりもFREEDAMSらしい味わいだったと思う。このプロが見せたニ試合をメインは受け止めて越えなくてはならない。そういう意味ではハードルが上がってしまったわけだけど。

▼GWAヘビー級選手権試合(60分1本勝負)
➈【王者】○鉄生 vs ×陽樹【挑戦者】
(15分53秒)

前ニ試合があまりに凄過ぎて、この2人が歩んできた因縁闘争とか前哨戦とかが綺麗に頭の中から飛んでしまったんだけど、リングをおりてもリアルに仲が悪いこの2人がなぜ試合が出来るのかというと、2人ともお互いを「プロレスで」出し抜いて勝ちたいという気持ちでは一致しているため。競争する種目が同じでないと、へたすれば生命の危険も考慮にいれないといけないので、特にプロレスの場合は「プロレスだから安心だね」というわけにはいかない。しかし、鉄生が越えてきたものは、陽樹も我が物にしないと勝ったことにはならないので、そういう意味ではチャンピオンとして既に世界観を作りつつある鉄生という存在は、陽樹的には無視したくてもできないやっかいな存在には違いあるまい。
初回の激突で派手な場外戦を繰り広げた時とはまた異なって、ここ最近の両者の攻防は、相手の技をいくらくらおうと、絶対に倒れまいとする我慢合戦化していたので、その分効いてないふりをし続けることは結構きつかったりもしたのではないかと思う。ダメージも蓄積していくわけで、そうなると実は相手に勝つという最終目的が途中で飛んで行ってしまう。その場では勝った負けたはあったにしても、最後に勝者としてたっていないと試合した意味がない。

そこで両者が繰り出してきた次の手がグラウンドの関節技合戦だった。しかしこれも互角。ならばどこで差がついたのかといえば、意識が飛んだ先に見据えている目的が明確になっていたかどうかが決め手になったとしかいいようがない。夏に王座を奪取した鉄生は意識を失いながらそれでも相手にとどめをさそうとした。実は陽樹がそこまで追い詰められた経験というのは鉄生ほど数がなかったのだ。よって鉄生が防衛という形でこの試合では証明したと思う。限界をこえるというのはある意味危険なことでもあるので、すすめられないんだけど、あえて勝敗を決するならば、この2人に限って言えばそこまで行きつくしかなかったのかもしれない。

とにかく壮絶な試合だった。お互いが意識飛びまくった中で本能の部分でほんの少し鉄生が、上回っていたということになるだろうか?しかしこのままでおさまる陽樹ではあるまい。このおとしまえは何があってもつけないと気が済まないだろう。鉄生も正直次やって勝てるかどうかというと正直そこまで盤石な自信もないだろう。よって盤石になりきる前に陽樹にはどうしても鉄生に土をつける必要があるだろう。今の自分にないものを身につけて、2人がもう一回ひとまわり大きくなったときにまたこのカードは組んでほしいなと思った。

試合後、勝ち誇ったPTがgWoメンバーを集め、さらなる増殖を予告。そのメンバーとは久保を打ちすえたKENSOだった。しかし普段からがむしゃらリングに上がっている藤田はともかくイレギュラー参戦になるであろうKENSO加入ってこの次にどうなるのかという絵が見えない・・・・が、まあせっかくメンバーに入れた以上なんか手をうってくるんだろうなあ。しかしこのgWoの勢力増加に比べると正規軍が手薄すぎるよなあ。なんとかこの辺をどうにかしないとバランスが悪すぎる・・・・最後に鉄生がマイクもって締める流れは今年後半からすでにおなじみになってきた。悪態つきながらも感謝をのべるという独特なマイクは、たぶんLOCのままではできなかったことだろう。自由でより面白いことを目指すgWoはたぶん鉄生の変化とともに生まれたユニットと考えていいのかもしれない。

で、2014年は終わってみたら結局gWoの年になっていた。これを許してばかりではさすがに面目が立つまい。正規軍には特に来年奮起してもらいたいものだ。