映画鑑賞記・ミル.マスカラスの幻の美女とチャンピオン
ミル.マスカラスの幻の美女とチャンピオン
09年11月5日鑑賞。
1970年製のルチャ映画。
ルチャ・リブレ(メキシコ版プロレス)の
“正義の戦士団”5人衆は、今日もリングで
熱い戦いを繰り広げていた。
ところがそこにマシンガンを持った
謎の小人軍団が襲来。敵の親玉は5年前に
ルチャ界を追放され、マッドサイエンティストと
化したマノ・ネグラだ。証拠はないがそうに
決まっている。街のミスコンに出場している
彼らの恋人たちも次々とさらわれてしまった。
怒りに燃える正義の戦士団!どうする正義の
戦士団!
1970年当時にメキシコで人気だったルチャドール
(メキシコのプロレスラー)を主要キャストに据えた
SFアクションムービー。リンピオ(善玉)の
ティニエブラス、ソンブラ・ベンガドーラ
(=ラヨ・デ・ハリスコ)が正義の戦士団を、
ルード(悪玉)のブラックシャドウが敵マノ・ネグラの
一の子分をそれぞれ演じている。
日本未公開。スタンダードサイズ。81分。
いやー、この作品、頂き物なんだけど、久しぶりに
頭の悪い映画がみられて大満足。
いや、頭が悪いっていっちゃいけませんね^^
B級の中のB級と言い直しましょう(余計悪いかも^^)。
まず、マシンガンで半裸の人間を襲撃するという
むちゃくちゃなスタートからして凄いのだが、
なぜかスナイパーのミゼットは試合が終わるまで
律儀に待っているし^^そんなのねらっているんだったら、
リング上でなくてもできるじゃん...
という突っ込みはさておいて^^マシンガンで
撃たれたのに絆創膏張っただけの治療で
動き回るマスカラスもどうかとは思うのだが...
この後、なぜか敵が銃火器を使う頻度は
どんどん減っていき、かわりに肉体と肉体の
ぶつかり合いの「どこでもルチャ」が場所を
選ばずに展開する。野っ原はもちろん、
空中でも、水中でもルチャドールたちは
「マスクを決して取らずに」戦い続けるのだ。
ビバ!メヒコ!
「街のミスコン程度の美女」をさらって、
マスカラスに復讐しようとするマノ.ネグラの
頭の悪さも相当なものだが、このマッド博士、
なぜか発明だけはしょーこりもなくいろんなもの
を作り出すのだが、どれも役に立たないもの
ばかり作るという、ボヤッキー並の天才なのだ^^
後はひたすらジャジーな音楽がどんなシーン
にも延々流れているというルチャ映画おきまりの
抑揚のなさが、見ている我々を催眠状態に
陥れていく。つまり、だんだん「これってアリ」
だよなあ...と薄ぼんやりとした頭で思うように
なってしまうから怖いぞ、ルチャ.リブレ!
さすが自由への闘いである。もう自由すぎるくらい
自由なのだ。闘う必要がないくらい自由^^
もうここまで来たら、筋書きなんてどうでも
良くなってくる...
というか最初から筋なんて期待していないんだけど^^
かわりに嫌と言うほど、脳天気な闘い模様が
延々と繰り返される。しかし、ルチャ映画はこう
でなくてはならない。たとえブルー.デモンが
主役なのに、日本版では「ミル.マスカラスの」、と
謳われていても、目くじらたててはいけないのだ。
そんな事例ごまんとあるんだから。
いやー、堪能したね、メヒコはいい!
本当にすばらしい。太陽の国は頭の中まで
とろけているのだ。グラーシアース!
こんなのアメリカじゃまずとれはしまい。いや、世界中
探したって、こんな映画があるのはメヒコだけである。
すばらしい文化だと思う。
ビバ!メヒコ!
ビバ!ルチャ.リブレ!