映画鑑賞記・ 日本一の色男

 日本一の色男
　10年7月3日鑑賞。

　厳粛なる女学校の卒業式で突如ツイストを
踊り出した音楽教師の光等は、即刻その場で
クビ。となればこんな学校に用はないと、
生徒がとめるのも振り切って学校を飛び出た
光はその足でローズ化粧品の入社試験に
潜り込み、面接者に対して勝手に化粧品
を押し売り。そのままセールスマンとして
会社にもぐりこみ、セールスNO．1という
丸子に喰い下ってお得意を紹介しろと頼む
厚かましさ。

　この光のあまりの図々しさに呆れた丸子
は自分がてこずった女政治家のコチを
紹介するが、光は見事三万円のセットで
五万円分を売りつけて、その晩には女史
が夫の権田原に薦めた二号の芸者雪桜を
も難なく攻略。翌日は雪桜の張り合って
いるバーのマダム春子の店に行き、
彼女の本当のパトロン、大東生命の高取
社長を聞き出しホステス達の化粧品代
を支払わせた。高取がナオミという
チャームスクールの生徒を可愛がっている
と聞いた光は講師に化けて彼女に近づくが、
ライバルのチェリー堂と契約を結んでいる
校長の道江に見破られてしまった。

　だが、大東生命ビルの新築を知るや
すぐさま高取を訪ねて、ビルの一部を
チャームスクールにして道江を校長に、
ナオミを副校長にするようにと口説き
落としにかかる。この調子の良さと
都合の良さに高取は早速その気になった。

　ローズ化粧品との契約にも道江に文句の
あろうはずがない。光が今までに稼いだ
金は売上げの35%の収入八十五万円、
今度の契約で三百十五万円、ご機嫌の
道江からお礼にと百万円、しめて
五百万円もの大金を稼いでウハウハ
である。だが、その本当の目的は．．．。

　意外にも日本一の男シリーズの中
では、最後に大こけしてしまうという
主人公、等のお調子者ぶりで女の子にも
仕事にもモテモテというものの、そう
うまくはいかないよ、というちょっと
した皮肉も効いた作品なんだが、植木
さん自体は全く懲りた感じがない
ところがいい。結局純情一直線で
頑張ったのに男としては意中の人には
振り向いてもらえない。

しかしそれを豪快に笑い飛ばせるというところに
この作品から大いなる勇気を与えら
れるのである。