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レアルルチャ・LUCHA HERMANDAD~ルチャハルマンダッ~魂の戦友観戦記(15.9.21月 さいとぴあ博多)

 
なかなか予定とバッティングして見に行けずじまいだったレアルルチャ。レアルは団体ではなく、今現在日本で唯一のルチャリブレを教える専門学校である。校長は単身メキシコにわたり逆輸入ルチャドールとして、みちのくや華☆激に上がっていた磁雷矢
 
まあ、彼がいなければ九州のプロレスシーン自体が生まれてないので、レジェンド中のレジェンドなんだが、そもそも単身メキシコでルチャドールになり、帰国後東映に直談判して世界忍者戦ジライヤ公認の磁雷矢になるくらい、よくいえば行動力があり、悪くいえば変わり者でもある。
 
まあ、ウルティモドラゴンにしろ、グラン浜田にしろ、ライガーにしろ、海外で名を馳せたひとは大概規格外な人格はしていると伝え聞くけど、闘龍門ドラゲーみたいな軋轢が、レアルで起きた話も聞かないし、一時期疎遠になったアステカとも一緒にやっているところを見ると、彼なりに自分より学校に情熱を注いでいるのだろうし、プライドが邪魔して孤高のレジェンドになっているわけでもないようだ。
 
ウルティモ校長との一番の違いはやはり門下生がついてきているかどうかということで、今のところそれは上手くいっていると思う。
 
しかも九州の各団体には現在新弟子を一から育てている余裕はどこにもない。となると新人育成はレアルの独断場である。九州プロレスが企業研修やフリースクールにプロレスの練習を組み込んでいるのとは意味合いが違う。あくまでプロのルチャドールになるための技術と語学を磨く場がレアルであり、さいとぴあ大会はその発表会の場なのだ。
 
新入学生の中には単身東京から福岡にきてメキシコ料理店でバイトしながら、メキシコでルチャドールデビューを目指す人もいた。昔は東京や海外に行かないとなれなかったプロレスラーが、いまや東京から福岡まで習いにくる時代が来ようとは…
 
 

第0試合 キッズクラスエキシビション2ラウンド

(時間切れ引き分け)
 
実は全試合で1番中身が濃い試合だったのがこの第0試合。いや、レアルルチャのキモはやはり
キッズクラスだなと思わずにはいられなかった。年齢的に発育が早い女子が体格差で男子を圧倒。きれいなタックルを鮮やかに決めた時は会場からどよめきがおきた。
 
男の子もタックルに挑むが、がぶられて決められない。空中戦はなく、基本的なグラウンドムーブはほとんどアマレスにちかい。まあ、アマレスならタックルでポイントが入った時点で女子の勝ちだろう。挨拶に出た最年少選手はなんと5歳。全体的に女子が多めなのはすごい。
 
もはや福岡のプロレスを支える新人育成はレアルしかできないことを考えると、この学校が未来の九州におけるプロレスシーンの屋台骨を担っているんだなあ、と思うのだ。彼ら、彼女らはまさに宝なのだ。観戦する側からすると贅沢な青田買いが楽しめる。これはレアルにしかない楽しみ方である。
 
第一試合・プリメラルチャエストレージャ
ヴァンヴェール・ジャック&エスピオン・ネグロ・ 対 ユーセー・エストレージャ&ヴァンヴェールマン&ハリケン・ジライヤ(ジライヤ組の勝ち)
 
エキシビションに出たり、試合前に挨拶した子達にしてみれば、ユーセーもジャックも大先輩ということになる。しばらく見ないうちにユーセーもジャックもでかくなっていたし、技のレパートリーも増えていた。
 
やはりスクールイベントだからか、普段練習している成果を見せたいのか、全体的に派手な技に走りがちになるのは仕方ないかな。大人が引き立てて、ユーセーとジャックの良さを引き出そうとしていたみたいだけど、どう考えてもユーセーとジャックが試合を組み立てて、引っ張っていたようにしか見えなかった。
 
それと、これはこの試合だけではないけど、メキシコのタッグルールはわかりにくい(チームの二人以上がフォール、ギブアップをとられて試合終了。一人だけとられても試合は続行される)し、何より試合が長くなる傾向がある。本場式にしたいのはわかるんだが、観客的には、どうしても「今フォールとられたのにまだ試合が続いている」という感じに受け取られて、勝ち負けがはっきりしない。無料配布されたリーフレットにルールも書いてあるし、事前にルール説明の時間もとっていたが、それでも完全決着に固執しすぎて、大会のリズムを殺しているような気がしてならない。
 
救いはやはりジャックとユーセーで彼らはやはりプロレス界の宝だといっていい。彼らの成長を見るのが、この団体…いや、スクールを観戦する最大の楽しみであることには間違いない。
 
 
第二試合 セグンダルチャエストレージャ
ブラックハンター・ストーム&ベスティア・マルバダ&ドラゴン・ユーキ対サミー・グアポーテ&ETO&スペル・ボンベロ(ドラゴン・ユーキ組の勝ち)
 
レアルルチャは基本スクールであるため、どうしても練習の成果を披露したいのだろう。全体的に試合傾向が似すぎてきて、ちょっと飽きがきそうになる。やはり空中戦が得意なものはそれで勝負して、グラウンドでジャベの魅力を伝えたいものはそうしてほしい。確かに飛び技は会場を沸かすには手っ取り早い手段なんだが、近年学プロでも基本的なグラウンドムーブをみせる試合が多々あるのだから、全体的に大会を俯瞰で見られる存在がいないと、全試合が技の羅列で終わる危険性がある。
 
技の羅列の何処がいけないのか?それは全試合見終わったお客さんの頭に印象として、どの試合も記憶に残らない可能性があるからだ。実際帰りの電車の中で試合内容を反芻しているのだが、第二試合が一番思い出せない。せっかく身を削る技を繰り出しながら、見せ方の上手い下手で練習の成果が記憶に残らないとしたら、やり損である。
 
最後にこの日デビューのスペル・ボンベロに関していうなら、見栄えしなくても地味に確実に決められる技を心がけて使ってほしい。
 
ぶっちゃけ飛び技はある程度の運動神経と体力があれば、何とかなってしまう。だが、私が見たいのは、練習の積み重ねで鍛えた受け身のテクニックや、基本的なグラウンドムーブなんで。確かに技のミスを機転でカバーしたり、可能性はあると思うが、この試合だけではまだ何ともいいがたいかな?
 
第三試合 テルセラ・ルチャエストレージャ
SHOKI&アズール・ドラゴン対林田伸一&ゼファー(アズール組の勝ち)
 
試合前にアズールのテーマ曲をスタッフがかけまちがえて、しばらくバラードが鳴り響いていた。おかげで試合前にかなり間延びしてしまったのは残念すぎた。  
 
他にも煽りVがあるにも関わらず照明を落とさないので画面が見づらいし、音も会場BGMと別なスピーカーから流しているのか?選手コメントがかなり聞きづらい。全体的にもやるべき演出がなされていないのは、いくら発表会であったとしても見過ごしていいはずがない。
 
さて、この試合が一番異質になる可能性があったのだが、期待はハズレ。なぜなら林田がネチっこいレスリングより、見た目派手めな試合をしてしまい、中身がバタバタしてみえたことにつきる。皆が派手な技に走る中で堅実なレスリングを見せるのが林田の真骨頂だろうに。 
 
SHOKIとの因縁もイマイチわかりにくいし、だいたいSHOKIに合わせて、林田までスピーディになる必要はない。
 
やっぱ林田ほどのベテランでも魔がさすことがあるのかもしれない。
 
ゼファーも受けに回るとトコトン弱く見える悪癖は改善されていない。かれの場合は若いから長い目でみてあげたいけど、相手を見ないで飛んだりするなど攻めにも無駄も多い。なればせめてスープレックス系の技だけでもきちんとした受け身を覚えておくべきだろう。スクール生はSHOKIだけだったけど、この試合に関しては、アズール以外のプロが珍しくそろってダメだったと思う。
 
セミファイナル・ハポンVSメヒコ
ジョルーバ&キルバン対MIKAMI&磁雷矢磁雷矢組の勝ち)
 
レアルルチャの理想をいえばスクール生だけで、メインを任せて磁雷矢校長は脇から花を添える形が理想だと思う。普段マッチメークからは、あまり自己主張は感じさせない磁雷矢がみちのく時代の後輩MIKAMIと組んだというのは、ささやかな自己主張として捉えていいのかもしれない。
 
そのMIKAMIは海外遠征以来、帰国後DDTでは、あまり外国人選手とガッツリ絡んだ記憶がない。いつも日本人と試合しているイメージが強い選手なんで、リアルメキシカンのキルバンやジョルーバとどう対峙するのか見ものだった。
 
だが、普段はささやかな自己主張もしない磁雷矢校長が周りに乗せられたのか?久々?のリアルルチャドールとの対戦に浮き足立ったか?若い時からあまり飛ばない校長が飛ぶわ、飛ぶわ。まあ、ゲストのMIKAMIは飛んでも別に構わないのだが、堅実なジャベを売りにする校長がみせた空中戦は、レアではあるがあまり得した気分にはなれなかった。
 
ここまで試合内容が似すぎている上に、全試合が15分から20分。熱戦といえば熱戦続きなんだが、さすがにここまで続くともういいかな、という気にはなるのだ。
 
メイン・4対4レレポス・アトミコス(キャプテンフォールマッチ)
ヴァンヴェール・ネグロ&KAZE&アグー&ローリンボーイ対ウラカン・マリーノ&ラウザ&RAMMA&ツバサ(ネグロのフォール負け)
 
華☆激で見た時なんかノリがブラドリっぽいなと思っていたローリングボーイが、本当にブラドリとチーム組んでしまった。まあ、アグーという緩衝材になる選手がいるから成立したんだろうけど、北九Zでみせるおふざけモードは皆無。いや、他団体であれやったら決定的に嫌われるのに、レアルと抗争している割りには、当たり前のルードを一生懸命やっていた。
 
普通一生懸命やる姿は評価すべきものはなんだが、彼らの場合はなんか履き違えている気がしないでもない。試合のクオリティ自体が自分の団体の時よりいいというのも(ヒールとして機能しているという意味だけだが)何だかなあという感じがする。
 
まあ、強いて良かった点をあげれば弟分のネグロに花をもたせようてしてKAZEとアグーが試合していた点ぐらいかな?キャリアから考えたら、それくらい出来て当たり前なんだが、北九Zでの試合があまりにショボいので、こういう評価しかできなくなるのだ。
 
そのネグロはお膳立てされた中では頑張っていた方だと思う。リンピオ軍に錚々たる顔触れかがいる中で最後まで自身のキャラクターを貫こうとした点は評価に値する内容だった。
 
まあ、試合には負けたし、最後に師匠RAMMAがネグロの成長を認めてマイクを渡したら、ネグロが素でしゃべり出すし、そのまとまらない締めを、更にマイクに難がある校長に丸投げしたあたりは、さすがに頑張ったネグロであろうと弁護の余地がないだろう。
 
まあ、ネグロ的には強いものに立ち向かい、弱いものはいじめないで、熱い仲間と熱い試合のできるルードになるのが理想なんだろうが、それをそのまま実行したら熱いリンピオにしかならないのだ。
 
かつて熱いキャラのまま、ヒールをやって微妙な結果に終わった選手たちは、結局全員ベビーターンしている。つまりネグロの理想を実現するにはあまりにハードルの高い難題なんだという事実をわかってもらった上で、もし理想を成し得たら、唯一無二の選手になり、歴史に名を残せるだろうという事もわかったうえで、チャレンジを続けるなら続けていってほしい。
 
もちろんネグロが一番嫌うであろう、ルードでもリンピオでもない、どっちつかずな選手で終わる可能性とリスクは覚悟の上で、という条件もつくけれど。
 
将来ある選手に「どうせ無理だからやめておけ」なんて無粋なことはいうつもりもない。なぜならネグロの理想と思われる像が実現すれば、私も今までにみたことのない選手や試合が見られるのだから、プロレスファンとしては損になるはずがないからだ。
 
全5試合なのに、大会終了は19時半。16時スタートで3時間半はやはり長すぎる。全試合時間無制限でオールタッグマッチというカード編成もおかしい。時間制限のある中でいかに表現していくかが、ルチャドールだけでなく、プロレスラーに求められるスキルだと思うし、時間無制限や、完全決着ルールは「ここぞ」という時に使わないと、間延びする要因にしかならないのだ、という事実を私も今更ながら思い知らされた大会だった。 
 
やはり今後大会を開いていくのなら、全体を俯瞰できるプロデュース能力のある選手なりスタッフなりを育ててほしい。でないとこれだけの人材を輩出しながら非常にもったいないと思う。磁雷矢校長やRAMMAのプロデュース能力というのも、あまり期待はできないんだけど、選手コールに進行役に実況とマイクもつ人が三人もいて、俯瞰で大会を見られないのでは、何のために三人もいるのかがわからない。
 
全体的に音出しや、進行の練習もした方がいいかもしれない。大会を作り上げていくのは選手だけではない。全体的に見渡せるプロデューサー的な役割がいてこそ締まった大会内容になるのだ。そういう意味では裏方にネグロのような逸材がいないのは、レアルのアキレス腱かな、と感じたのだ。
 
しかし、レアルは何回もいうけど、月謝払ってルチャを習いにきている人たちの集まりなのだ。選手の家族でも縁者でもない、一般客は彼ら彼女らの未来と成長ぶりにお金を払う。むしろ問題なのは、彼らと明確な差をお客さんに認識させられなかった多数のプロ選手側にあると思う。 
 
もちろん危険な技は使わないことはモラルとしてあるべきだが、試合のクオリティまで相手にあわせているのでは、どうしてもレアルの選手のレベルが高いというより、プロのレベルが低いという見方をしてしまいがち。
 
危険な技や、派手な技は使わないが、プロでないとできない試合の組み立てや、受け身などの技量、パフォーマンス、佇まいなどを見せていたプロ選手は、数えるほどしかいなかった。
 
彼らは専業ではないにしろ、プロレスで飯を食うプロなんだから、プロを目指す人たちの前で、プロの敷居をさげるような試合はしてほしくない。残念ながらそのあたりに工夫も見られなかったし、参戦プロ選手には反省して次に繋げてほしい。
 
今回メキシコ人のお客さんもたくさんいて、本国のルチャドールたちを懸命に応援していた。まさにアレナメヒコにいるかのような?あの熱気は作りたくてもできない空気だし、それが体験できただけでも、はるばるさいとぴあまでいってよかったと思う。次回大会はキッズだけでなく、大人の生徒さんたちの成長も楽しみにして観戦に行きたいと思っている。